北タイ-魔法のナタを持つカレン族
今年2月、北タイのカレン族の村々を、訪ねました。カレン族のナタは、バナナの葉の皿、竹の食器、建物の柱と、あらゆるものを生みだします。
この地のカレン族は200年程前、ミャンマーから移動してきた人々です。彼らは、半径7kmほどの低木の範囲に村を作り、焼畑をやり、何年かおきに焼畑の移動に合わせ、引っ越しをします。その範囲の外側は高木地帯で、伐採や狩猟のゾーンです。
カレン族は、すごい切れ味のナタを常に携帯しています。そのナタで、太い枝も見る間に切り落とし、ある時はバナナの葉をきれいに切りそろえます。カレン族のナタからいろんな物が作られる様を見ていると、そのナタが魔法の杖に見えました。彼らといっしょに森を歩くと、森からすべての生活を作り上げてきたことを、実感させられました。
この旅から帰って10日後、東日本大震災が起きました。カレン族の生活を思い出しながら、人間は、どこまで便利で近代的なものを手にすれば満足するのか、考えさせられました。