星占いに導かれる山車祭り
雨季に入る前の5月、パタンの通りに、巨大な山車が現れます。作物への恵みの雨を祈る山車祭りの始まりです。写真のように、多くの生贄が捧げられる祭りです。
大勢の男たちに曳かれる山車は、伝説のある10か所ほどの地点に停泊しながら、半月から1カ月くらい、街を巡ります。出発日は星占いで決まり、また山車の倒壊の修理などもあるので、いつ始まって終わるのかは、だれにもわからないのです。
山車の台座を、大きな丸太が貫いています。その丸太の先頭には船頭が立ち、山車の動きを指示します。100人ほどの綱を握る男たちは、それに合わせ山車を曳き、廻します。
山車が停泊地に近づくと、群衆のざわめきが大きくなります。停泊地の道路には、30cmほどの穴が開いています。普段は車道ですが、埋められることはありません。その穴に、山車の底に突き出ている、心柱を収めるのです。山車はかなりの速さなので、それをコントロールする車輪回りの男たちは、命がけです。無事、心柱が収まると、曳き手、群衆から大歓声があがり、山車の周りで踊りが始まります。雨季前の湿った空気が、うねるような迫力です。
停泊した山車には、生贄の生き血が捧げられます(写真)。山車の周りには、たくさんのバターランプが煌めき、神への賛歌を歌う男たちが練り歩きます。
山車の巡行中、警察は山車に付き添い、たまに空砲を空に向けて撃ちます。でも、群衆をコントロールするでもなく、また、祭りを取り仕切る係も見当たりません。この祭りは、山車の先頭に乗る船頭の掛け声だけで、100人ほどの曳手の男たちが動き、進められていきます。
大群衆を動かしているのは誰なのか、全く見当たらないまま、山車は次の日も動きだします。