インドからネパールまで自動車を担いで運ぶ
ネパールに自動車がやってきたのは、1930~1940年ころのことでした。
インドからカトマンズまで、自動車を担いで運んだのは、チトラン村の男たちでした。チトランはカトマンズから南西15kmにあり、標高2000mの峠を超えた山あいの村です。かつてインドとカトマンズをつないだ古街道にそって、水田の中にレンガ積み住宅が点在しています。
当時の国王から、この村の男たちに自動車運搬の命が下りました。数十人の村人たちがインドにむかい、車を担いで戻り、さらにカトマンズまで運びました。
写真は、今も残るその古街道です。ここから1時間(日本人の場合)ほど上って峠に至り、そこからは遠くヒマラヤが見えます。この坂を、おみこしのように自動車を担いで歩く村人たちを想像すると、気が遠くなります。
峠からは、一気に下りとなり、2時間ほど歩いてトリブバン国道に着きます。私達は、そこからバスに乗ってカトマンズまで30分ほどのバスの旅でした。
ところで、1940年ころは、カトマンズの街中の一部にしか、広い道路は無かったそうです。なぜ、そんなところに自動車を持ち込んだのか?国王の道楽に、村人たちが自由に使われていた、前時代の物語ですね。
その後、この峠の急斜面にも道路が通り、一般車が走れる山道が完成しています。チトラン村の古老たちは、どんな思いでその山道を眺めているんでしょうか。
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