チベットの鳥葬と観光

チベット最古の僧院として知られる、サムイェ寺に行った時のことです。サムイェ寺北東数kmの山中にある、標高4300mの尼寺まで足を延ばしました。民家は全くないところで、生活物資はサムイェ寺の集落から運んできます。

この地は、チベットの聖地の中でも、場の力がとても強く、瞑想の到達度がかなり高まる場だそうです。優秀な尼たちが集まるお寺で、経堂での読経の空気にもそれを感じました。本堂から岩地を登って、鳥葬場に行ってみました。最近葬儀があったらしく、遺体を運んだ梯子や、解体のための刃物などが、置かれたままになっていました。

サムイェ寺山中の鳥葬場
鳥葬場

先日、ある鳥葬の動画を見つけました。

下の写真は、その動画の鳥葬前の一場面。外国観光客が撮影して、アップしたものです。不気味なハゲワシが一斉に集まってくる様子、遺体がバラバラにされていく様子、そこに群がり遺体をついばむシーンなど、まったくモザイクなしの記録でした。

動画の1シーン。鳥葬場のハゲワシ。

一部だけ見ましたが、このような動画を公開するって、どうなんだろう?としばし考えさせられました・・。

その後、ある日本人のチベット旅行記を読んだのですが、そこに鳥葬のことが書かれていました。チベット人のかなり親しい知人が亡くなり、その鳥葬に立ち会った時の出来事でした。ふつうは近親者以外参列はできないので、家族に頼み込んでの参列だったそうです。

語り笑いあったあの知人が、目の前でばらばらになっていき、掛け声とともにハゲワシが押し寄せ、争いあいながら知人の足を食いちぎり、臓物を引っ張り出していく。骨も砕かれ知人の全てはハゲワシに収まって空へ飛んでいく・・・その情景の中で筆者は、鳥葬の本当の意味を感じたそうです。


そして先週、鳥葬と観光でトラブルが起きているというニュースが流れてきました。

サーチナニュース2015-01-23
チベットで「鳥葬」絡みの立法措置・・・好奇心で見物の観光客に現地住民の不満高まる

チベット民族の間で長らく行われてきた、死者の遺体を鳥に食べさせる「鳥葬」について、新たな立法措置を講じることになった。観光客が「鳥葬」の現場に押しかけることが多くなり、現地住民で不満が高まっていた。

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